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チビトラ VS トラハチ
発色・白飛び対決


オリンパスから出ている10倍ズームのC700UZ(以下、チビトラ)と、8倍ズームのC720UZ(以下、トラハチ)は併売されているようなのでどっちを買うか迷っている方も多い様ですね。結論からすればどっちも一長一短があって、どっちつかずってところかな。トラハチは300万画素になっても価格が据え置きされているのはかなりの機能の削減と処理スピードの鈍化によるところが大きいので、言ってみれば「スペックダウン」機だったりします。

トラハチになってよいところは原色CCD搭載による「発色の良さ」です。見栄えの良い画像が撮れるのを第一に選ぶのならばトラハチが最優先となります。緑や青の発色は全然良くなってますから。

元々オリンパスの渋い補色系の色で慣れているのならばチビトラでも構わないわけで、200万画素と解像度は落ちますが、

チビトラが優位な点は
・処理スピードが速い 1.5倍は早い
・ホワイトバランス補正が出来る
・マニュアルフォーカスが出来る
・外部フラッシュ端子が有る
・フルタイムAF機能がある
・音声付動画で撮れる
・ズームレバーが高速、低速の2段変則
・10倍ズームである

と、かなり列挙できまして、つまりはトラハチにはこれらすべての機能がバッサリと削除されてしまったわけです。特にマニュアルフォーカスを削ってしまったのはかなり痛い。このシリーズは遠景でのAF性能がすこぶる悪く、かなりの確立でピンボケになってしまいます。チビトラのMFは優秀でして、夜空の星のピントと、30メートルぐらい先の被写体のピントのポイントは違っており、微妙な調節が可能です。よって、打上げ花火などの撮影はトラハチにはほぼ不可能となってしまいました。

トラハチが優位な点は、
・300万画素になった
・偽色が減った
・原色CCD搭載で鮮やかな発色になった

程度でしょうか、、。
しかしこの3つの優位性は捨てるに捨てられない出来上がりの画像を形成する上で最も重要なファクターなんですよね。だから中途半端な機種として仕上がってるんです。

以下、比較画像の撮影条件は、両機種とも
・ホワイトバランス 太陽光固定
・プログラムAE
・ISO感度100固定
となっています。
いずれもクリックすると元画像を表示します。


C700UZ (チビトラ) C720UZ (トラハチ)







見た目の気持ち良さと記憶色に近い色合いからして、トラハチの原色CCDの発色はチビトラに比べて全く別のカメラのように派手系の発色になりました。どちらも露出値は同じで、ホワイトバランスも太陽光固定、ISO感度100で撮っています。
ひとつだけトラハチになって気になるのはハイライト部の白飛びが顕著になったこと。上の比較画像は解像度が違うのでトラハチのチップは拡大された感じに見えてしまいますが、とにかく良く飛びます。飛びまくりです。デジカメの場合、コントラストのあるシーンでハイライトが飛ぶのは当たり前と言って良いでしょうが、現行機種中で最も画素ピッチが小さいトラハチの場合、悪評の1/2.7インチタイプよりも飛びまくるのはやっぱり画素ピッチ理論は正しいんだなと思い知らされます。



C700UZ (チビトラ) C720UZ (トラハチ)







「緑」の発色全く別物になっているのはご覧のとおり。
ちょっと作りすぎかなって気もしますが、私は好きですよ、トラハチの発色は。
「白飛び」が激しくなったことはさっき書きましたが、確実に「偽色」は減ってます。
これは大歓迎。
レンズ自体は同じだと思うんで、CCDサイズがちょっと大きくなった分、光学8倍止まりになったのが幸いしてか無理の無い光学性能になったんでしょう。それと、紫外線カットのフィルターも改良されたんでしょうね。
上の比較チップを見れば一目瞭然となります。チビトラはハイライトの部分に紫色の嫌な偽色が派手に出ています。私もチビトラをあまり使わなかった理由がここにありまして、どうしてもこれだけは見るに耐えられなかったもんで、、。トラハチになってかなり収まっているのがお分かりになると思います。これぐらいなら、このレンズにしては上出来ですよ。
但し、よく見ていただくと分かりますがトラハチの画像は葉っぱの中の模様まで解像していません。ベタっとつぶれた黄緑色になってしまってます。これは極小画素ピッチにおける解像感(解像力)の欠如が始まってしまっています。これだと300万画素の意味は無くなってしまってますね。

結果、どっちのカメラが良いかって疑問は全くのナンセンス。
逆に聞きたい、どっちのカメラが欲しいですか?



C700UZ (チビトラ) C720UZ (トラハチ)
発色は良いんだけどね、瓦のディテールが飛んじゃってるんだよね。トラハチは。
面白いのは流石に兄弟機種だけあって、プログラムAEでの露出値は両者同じ。
この辺のプログラミングは変更無いみたいです。
但し、ISO感度をオートにした場合はトラハチはISO400止まりの為、露出値は違ってくると思います。

「空」の色はトラハチがやや原色CCDの綺麗さが出ていると言った感じ。





2002年6月25日